学生を地方へ分散させたい政府

日本の私立大学の多くは東京、大阪とその周辺に所在しており、全国から高校生が吸い寄せられています。大都市圏への学生流入の抑制、つまるところ学生の地方分散を目的として、国は私立大学の入学定員管理を厳格化しています。定員を大きく超えて学生を入学させた大学はペナルティとして私学助成金をもらえなくなります。

首都圏の学生を地方に分散させることを目的としてできた制度なのでしょうが、当の学生たちは政府の思惑とは異なる動きをしました。

市進予備校 大学入試 トピックス② 私立大学の【定員厳格化】って何?

早稲田に合格しても、実際に入学するのは10人中6,7人

私立大学って複数受験するのが普通ですから、合格しても行かない場合のほうが多いんですよね。(例えば東大、早稲田、慶応3校に合格した学生は東大へ行く)大学は定員の数倍の学生に合格通知を出し、そのほとんどに辞退されて、残った学生に入学してもらうって感じになります。

首都圏・私立大学人気ランキング2017…受験者数・合格倍率・入学辞退率

この記事を見ればわかりますが、天下の早稲田大学ですら辞退率65.15%です。10人中6,7人は辞退するんですね。東大か慶応に行くんでしょう。

そんな話はさておき、定員以上に入学者を出した大都市圏の私立大は補助金が貰えなくなります。どこの大学も渋々合格者数を絞りました。その結果都内私大の偏差値がぐいぐい上がってます。A判定でも全然受からなくなりました。

私立大学玉突き事故

なぜこんな事態になったのでしょうか?それは私立大学が玉突き事故を起こしているからです。

話を分かりやすくするために表にまとめてみました。

まずことわっておきたいのは、私はこの手の大学ヒエラルキーにそこまで詳しくはないということ、ここに出した大学群はあくまで一例で、理解を容易にするために仮に設定されたものだということです。この表を見て気分を悪くされた方がいたら申し訳ありません。

合格する学生の半数が入れ替わる下位大学

本当はこんなに単純でないことは重々承知ですが、各ヒエラルキーの人数は同数で、その大学群の大学に不合格となった学生は全員一つ下の大学群へ入学するものと考えます。するとどうでしょうか、各大学群が入学定員を10%ずつ絞っただけなのに、下位の大学群へ入学する学生は50%も入れ替わってしまいます。

早慶上智に不合格になった10%はMARCHに落ちます。しかしその落ちた先のMARCHも下位の10%を不合格とします。上から降ってきた早慶落ち10%と合わせて20%が不合格となります。成成明学はもっと悲惨で、MARCHから20%の学生が降ってきますから、絞った10%と合計して30%の学生が不合格となります。日東駒専も同様に40%、その下は50%と続きます。

名前を書けば受かる大学は都内から消えた

「下」に行けば行くほど、定員厳格化の恩恵を受けますから、都内の定員割れ大学が減少しました。『2015年、定員割れの大学は全体の約43%を占めていました。しかし2019年は33%に減少。』

※Fラン大学でも早慶MARCH並みに合格しにくくなった理由

Fラン大学のレベルが早慶MARCH並みになったというのは誤解です。倍率が跳ね上がっただけで、依然として早慶レベルの学生がFラン大学を受験すれば100%合格しますが、不合格者が出る以上、「名前を書けば合格できる大学」ではなくなったのは確かです。

結局地方へは行かなかった大学生

地方の大学を元気にしたくて都内の定員を厳格化したのでしょうが、田舎の大学へ行きたい学生なんて多くありません。結局大学のレベルを下げてでも東京にしがみついて、都内下位大学が恩恵を受けました。風が吹いたら桶屋が儲かるっていうあれです笑